比例する喜びと悲しみのふり幅

2019年7月24日

都市化が進んだ現代では、室内で一生を過ごす小型犬も珍しくありません。

室内で一生を過ごす犬でも何も問題がなく、お利口な子もいます。

ただしそれは、本当に一生ずっと部屋にいた場合です。

極端に社会化不足で様々な刺激に触れた事にない犬にとって、外の世界はどのようなものなのでしょうか。

例えば、何かを【欲しい】と思う感情。

私たちは知らず知らずのうちに自分の周りにある、自分より上のランクの物を手に入れたいと思うようになります。

貧困の国で人々が望むものはきれいな水、家族が生きていけるだけの食べ物、子供の成長、健康。

私たちはそんな人たちが想像すらしない世界にいます。

欲しいものは、可愛い犬?かっこいい車?大きな家?素敵な恋人?休暇?

人は周りのレベルに合わせて自分の物欲のレベルも上がっていきます。

多くの経験をした人は大きな喜びを知っていますが、逆に大きな苦しみも知っています。

過去の苦しみを知っているからこそ、今が幸せと感じられるのです。

今【幸せ】と感じているその場所も、しばらくそこにいれば【幸せ】と感じなくなっていきます。

それが自分にとっての普通になって、さらに上を欲するようになります。

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憎しみ、怒り、喜び、嫉妬、同情、恐怖、快感。

全ての感情は自分と他人、周りとの接触から生まれるものです。

そして、相反する感情。

喜び←→悲しみ 好き←→嫌い の振り幅は大抵比例しています。

狭い部屋で一生を過ごすという事は、自分の感情を育てる刺激がとても少ないという事です。

毎日同じ刺激、同じことの繰り返し。

感情の変化の振り幅もわずかしかありません。

つまりお利口というよりは、表現する感情が少ないのです。

人が問題だと思う犬の行動というのは、犬が何かに対して反応して、感情をあらわにしてる姿なのですから。

嫌いな犬が来た吠える!

大好きなおやつがある飛びつく!

自由に走り回りたい引っ張る!

強い感情がなければ犬は反応を示さず、飼い主の目には大人しい良い子に映ります。

その狭い世界で一生を過ごせば、その子は広い世界があることなど想像も出来ないまま、毎日を平和に生きていくかもしれません。

人生にはより大きな喜びがあるという事は知らずに。

誰もが欲をなくし、感情をなくし、対立もない。

今とは正反対のその世界は平和かもしれません。

でも私は、せっかく生きているからには広い世界を知りたいし、沢山の人に会いたいし、楽しい事もいっぱいしたい。

そう思ってしまいます。

一度きりしかない人生なのですから。

しかしながら、ふと周りを見てみると鳥鳥カゴ、魚・イルカ水族館や水槽、猫室内、ライオン・キリン動物園の檻の中 家畜の牛たちは一生を繋がれたまま過ごし、養卵場の鶏にいたっては30cm以下のスペースに生きているのです。

『逆に自分の意思で自由に生きている動物って・・・?』と考えてしまいます。

自由に生きたいところに行き、やりたいことができる私たちはなんて幸運なのでしょうか。

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